散歩道

シロ子はまだ若い。
シロ子はいつも怯えている。
家の前の犬小屋から出てこない。
彼女の全貌を見たことがない。

男の人が家の前を通ると怯えながら吠える。
題して怯え吠え。

午前で活動を終えた日、午後はひまだから、シロ子と散歩に出かけてみようと思った。

小屋の中を覗くと丸まった彼女がいる。
少し怯えた顔をしている。
リードを見せると、
「散歩行くの?」と興味のある顔をした。

すんなりリードを受け入れた。
彼女は最初少し辺りを気にしながら小屋を出た。

彼女の歩き方は個性的だ。

斜め歩き。
斜めに進む私たち。
直進はどうやらできないらしい。

地面に興味津々な彼女は進む。
斜めに。
斜めに。

それに沿って私も進む。
斜めに。
斜めに。

犬のいる家の前を通る。
飼い犬が吠える。
彼に興味がないシロ子は完全なる無視をする。
興味は全力で地面へ。

シロ子の思う方向へ進み、
危ない道は私が思う方向へ進み、
互いに思う方向へ進む、
散歩道。
そして帰路。

彼女は進む。
斜めに。
まだ帰りたくない。

でも帰るよ。

ちょっと強引に斜め帰宅。

首輪に付けたリードを外すのは、嫌なよう。

シロ子の家族は
散歩ができたことに驚いていた。
彼女がこんなになついた人は初めてだととも話してくれた。

シロ子の家に居たのは4日間だったけど、大切な思い出をもらったよ。
旅の素敵な出逢いは人間だけじゃないみたい。

ありがとう。
たまにお互い思い出そうね。

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