静かな人 おしゃべりな人

港に着いたら二人の人が待っていた。
ひとりの人が話しかけてくれた。
もうひとりの人は静かな人だった。

一緒に暮らして知った。
ひとりの人はよくしゃべる人で
もうひとりの人はものすごい口数の少ない人。

よくしゃべる人の空気の中で生活するスタイルになっている。
静かな人は、たまに口を開いてくれる。

それが普通な日常になりつつあった。


3人で車で出掛けた。
よくしゃべるひとが数分車から出たとき
静かな人が話しかけてくれた。

「ここの滞在が長くなってきました。
あなたはわたしがここを出ても大丈夫ですか。」

どきっとした。
もうすぐ静かな人が出て行ってしまうこと。
静かな人が、わたしを気遣ってくれて、いなくなっても大丈夫かと聞いてくれたこと。

わたしは旅に出るまで、口数の少ない人たちより、よくしゃべる人たちといる方が気が楽だった。
よくしゃべる人というのは自ら話してくれるので、何に関心があるのか分かる。
口数の少ない人というのは何を考えているのか分からなくて、こっちが悩んでしまう。
どんな人でも分かるわけはないのだが、よくしゃべる人のことは分かった気におちいりやすい。
無言な人は分からないからおちつかない。

そういうわけで、
静かな人が話すと
その一言が静かな人を凝縮して表している様に感じる。
別に凝縮していなくて一部なのだけど、
静かというレッテルがそうさせる。

単純バカなわたしは
な、ななんて優しい人なんだろう!!!
(キラキラワールド)
と、これまでの静かな人の印象を変えてしまう。

3人だろうと2人だと変わらないと思っていたが、あの一言で急に今のバランスが壊れることがさみしくなって2人が不安になった。

こんなにも外部から影響を受けるものなのか。自分を確立してほしいものである。こいつめ。

おしゃべりな人は本音で話していないかもしれない。
静かな人は今だけ静かなのかもしれない。

幻想でしかない•



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